空気を喰む

Exhibition

空気を喰む

一見するとスチームパンクの世界を描いているように見えるが、実は最新の研究に基づいた描写である。リュック型の装置を背負った少年が、装置内で合成された糖をチューブを通じて摂取している。この描画からどのようなイメージを抱くだろうか?本作品は二酸化炭素から糖を化学的に合成することを可能にした近年の研究を視覚化している。この研究の鍵となるのは、ホルモース反応と呼ばれる糖の合成反応である。研究チームは新たな触媒の発見によりこの反応の副反応を大幅に減少させ、糖の生産効率を大幅に向上させ、またこの新たな方法で生み出された糖は、微生物、つまり生物の成長を維持するのに十分な質を持っていることが明らかになった。この作品は我々の身体が必要とする基本的な栄養素である糖が化学的に合成される未来を描く。これまで人類は、広大な農地で穀物や野菜、家畜を育てることで生きるために環境に負荷をかけて必要な食料を生み出してきた。糖の化学合成技術によってそうした人類の食料生産の在り方が根本的に変わるかもしれない。本作品はそのままディストピアと捉えることもできるが、画期的なデバイスや新たな嗜好品の可能性を見出すこともできる。少年の姿は科学と技術が人間の生活をどのように豊かにするか、その一方で人と自然の豊かな生活の本質とは何かを鑑賞するものに問いかける。

Inspired by

  • Tabata, H et al. (2022), Construction of an autocatalytic reaction cycle in neutral medium for synthesis of life-sustaining sugars. Chemical Science

Credit

Illustration
Generative AI
企画/解説
浅井順也

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